エッセイ的な何かbyルミ

ひとつのお題についてグダグダと書くエッセイっぽいブログ

青春?時代のお話(1)

高校3年の夏休み。

夏休み最後の週に数学の補講をしてくれるとのことだったので、四年制大学の受験を控えていた数学赤点ギリギリのわたしはもちろん、補講に通っていた。

忘れもしない、補講最終日の帰り道。

夏休みで帰宅時間も早かったので、普段は自転車通学のところを、補講のときだけ徒歩で通学していた。

短い区間だけど、道幅が狭くて私有地っぽい畑と雑木林の中を通る人気のない場所がある。そこを歩いていたときに、後ろから原付の音が聞こえてきた。

道が狭いゆえ、先に行ってもらおうとわたしは立ち止まってやり過ごそうとしたが、原付はわたしの横でブレーキをかけた。原付には、二十歳前後の男性が乗っていた。

そして、話しかけてきた。

「俺さ、ハムスター飼ってるんだ。見る?」

そう言って、男性はジーパンのファスナーをジジジ・・と開けはじめた。

うっわ。

でた。

暑さで頭がどうかしちゃった人の登場である。

これはやばいぞ、とわたしは走って逃げる。

「待ってよ~」と、原付の兄ちゃんが追いかける。もちろん、原付に勝てるわけもなく先回りをされ、しかも運悪く雑木林の中で道をふさがれてしまった。

「何で逃げるの~?」(ニヤニヤ)

この道を抜ければすぐ住宅街なのは重々承知なので、わたしは徒歩を生かしてあえて雑木林の道なき道に入り、原付と離れたところから住宅街へ抜けたのである。

 

帰宅後。

誰にも相談できず、「来週から2学期じゃん、これからどうしよ・・・」とひとりで悩む。

もし仮に徒歩でなくいつも通りの自転車でも、あの兄ちゃんは追いかけてきただろう。

クラスで仲良くしている友人たちは電車通学だったり、自転車でもまったくの逆方向なので一緒に帰れない。

幼なじみは教室の階が違うから帰るタイミングがわからないし。

・・・にしても、こんなデブス喪女でも声かけるんだな。高校生だったら誰でもいいって本当なんだな・・・。

なんてことを考えながら。

 

「あ、そういえば。」

ふと、名案がポン、と浮かんだ。

 

わたしは理系クラスに所属していた。

数学赤点ギリギリでも?いやいや、政経歴史全般赤点ギリギリのわたしには文系より理系の方が居心地がよいのです。

イマドキの事情は知らないが、わたしの頃の理系クラスといったら想像通りの「ほぼ男子クラス」でして。男32人、女10人。女子の圧倒的少なさよ。

うちのクラスに文クラの女子が遊びにきてくれると、「なんかこの教室、変なにおいしない?」とよく言われたものです。(ごめんね男子)(そして慣れてにおいを感じなくなるリケジョ)

わたしは、わりと男女関係なく話ができる方だが、中学時代のトラウマで「高校は男子と仲良くしない!」と心に誓ったため、高校は自分でもびっくりするほど男子とは話さず過ごしていた。

むしろ、3年生にもなると男子の免疫がかなり薄くなってしまい。グループ授業なんてやった日にゃあ、名前も覚えていない男子でも少し話すだけで緊張して顔が赤くなる状況。

 

そんなウブキャラになってしまった喪女、自分のクラスに同じ中学出身の男子がいることを思い出す。

いや、同じ中学出身、なんて書いたら遠い関係に思われてしまう。中学時代同じ運動部で、集会で並ぶときは低身長組同士よく隣にいた人である。というか男子の中でもよく話していた相手である。

「同じクラスだし、帰り道も一緒だし。でも、わたしのこと覚えてるかな・・・?」

今思うと「中学3年間同じ部活でよくしゃべってたヤツのことを2年間しゃべってないからって忘れるわけねーでしょ」だが、こういうときって謎に自信喪失になるよね。(たぶんわたしだけ)

とりあえず、当たって砕けろ!(告白みたいだな)、なにより身の安全第一!(デブスだけど)

翌週どう話しかけるか、部屋でひたすらイメージトレーニングをしていた。

 

(つづく)